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http://www.wolfe.net/~dhillis/sexoffen2.htm#full
ニュージャージー州トレントン郊外に住んでいたミーガン・カンカ(7)は、1994年7月初旬の夕刻、姉とテレビを見るのに蝕きて一人で外出。24時間後、家から3-4キロ離れた公園で、プラスチック容器に押しこまれたミーガンの遺体が発見された。強姦の上、絞殺されていた。
カンカ家が住んでいたあたりは、静かな住宅街で、向かいに住む3人の男が、性犯罪者を収容する州施設「エイブネル」に収容されていたことを知るはずはなかった。3人のうちの1人、ジェス・ティメンデクアスが強姦殺人で逮捕。別の7歳の少女に対する猥褻行為と殺人未遂の前科があった。ミーガンに「子犬を見せる」といって家に誘いこんだという。地元住民は、犯人が住んでいた家を買い取り、取り壊した。その場所は「ミーガン広場」と名づけられた。
少女の強姦殺人はアメリカでは珍しい事件ではない。この事件だけが連邦法の制定にまで発展した背景には、当時支持率の低かったクリントンの人気取り的側面は否定できない。
ミーガン法の94年州法案では、2回目に有罪となった性犯罪者を登録、釈放後10年間は定期的に監視、地域社会に戻るときは州政府が警察に警告するよう義務づけた。1996年5月に連邦法に昇格し、さらに警察による住民への通告も要求した(州の裁量による)。現在では内容に若干の差があるが、ほぼ全ての州が法整備を完了し、厳しいところでは仮釈放中の性犯罪者の名前・住所・写真を、警察が出向いて住民・学校・施設などに連絡しなければならない。
刑期を終えた者を病院に収容し、性ホルモンを抑制する薬物を強制投与するのは実質的に刑罰の一種であるため、一事不再理(double
jeopardy:修正5条)を定める合衆国憲法違反だとしてニュージャージー州などで訴訟が起きたが、結局1998/02連邦最高裁で合憲判断が出た。
同様の法律は2001/08韓国でも施行された。イギリスでは少女強姦殺人事件を機に新聞ニューズ・オブ・ザ・ワールドが、小児性愛者の写真や住所が明記されたリストを発表、約11万人の情報を公表し続けると宣言。「小児性愛者は他の犯罪者と性質が違い、再犯防止が必要」、「顔や名前を公表されたら地下に潜るだけ」と反応は分かれた。同紙のキャンペーンが始まって、犯人への襲撃事件が各地で相次ぎ、同紙は公表を自主的に停止した。こうした騒動は世界各地で起こっている。
行政府の下部組織に成り下がり、違憲審査権の発動に腰が引けている我が国の最高裁と言えど、日本で同様の法律が出来たら、おそらく違憲判決を出すだろう。それは、児童を狙った性犯罪の深刻さがアメリカに比べれば比較にならないほど低いからだ。日本で7歳の少女が惨殺されれば全国紙やテレビのトップニュースになるだろうが、アメリカなら数が多すぎて日本ほどマスコミの注目を集めることはない。
ただ、子供だけを狙う性犯罪の再犯率が突出して高いのは全世界共通の現象で、ミーガン法の成立過程で米国司法省が出した数字では他の犯罪平均の10.5倍、日本・フランス・ドイツなどでも、約4-6倍程度となっている。アメリカの新聞などでは性犯罪者(molester)はプレデター(predator)と呼ばれることが多く、人間以外の怪物であるという一般認識が深刻な現状をよく表している。
日本で同様の法律ができることは現実的には考えにくい。国際的に見て治安が格段に良い以上、
刑事司法制度を大きく変更する必要に迫られていないからだ(刑罰が軽すぎることを除く)。
性犯罪の前科を公表された場合、犯人は事実上社会復帰の可能性を完全に絶たれることになる。そうなれば再犯か自殺、偽名での逃亡しかない。アメリカは刑務所の収容能力オーバーで危険な犯罪者が次々と釈放されているが、日本はまだ余力があるので、社会復帰の道を絶つのであれば刑罰を重くする方が理にかなう。性犯罪は年齢の上昇とともに数が減るため、長い刑期を課してから釈放すればリスクを軽減できる。
それに、刑罰を加えるのはあくまでも司法権(刑務所)であるべきで、いかなる形であれ「自力救済」を認めるなら近代国家の看板を下ろさねばならない。釈放後に監視するのが仮に有効だとしても、その主体はあくまで裁判所の令状を持った警察官でなければならない
(立法が必要)。その他にできることは、コロラド州のように性犯罪者が釈放される時、DNA鑑定用の血液採取を義務付けることだ。
私は「個人の人権より公共の福祉」という国家主義的立場であり、ミーガン法を「人権侵害」として批判しているのではない。単に効果が期待できず、一事不再理・自力救済の禁止という基本原則を曲げているからだ。性犯罪者の人権はいくら制限しても良いと思うが、それは社会を安全にする明らかな効果がある場合に必要な範囲でのみ行うべきだ。つまりは刑罰を現在より大幅に引き上げれば、法律の大原則を曲げることなく、社会を安全にできる。
ミーガン法は近代国家にあるまじき悪趣味・無意味な法律だとも言えるが、例外的に治安のいい国の住人が、日夜犯罪と格闘せざるを得ない不幸な国の切実な現実を机上で批判しても意味はない。
なお、「人権派」の主張に基づき刑法の「尊属殺重罰規定」が憲法14条の平等原則に違反するとして削除された経緯があり、子供を殺した場合に特に罪を重くすることは法理論的に不可能だ。
| 殺人 |
日本
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アメリカ |
イギリス |
ドイツ |
フランス |
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認知件数
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1466 |
16194 |
1426 |
2897 |
2150 |
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検挙率
|
97.5% |
68.7% |
91.9% |
95.2% |
82.7% |
|
発生率
(10
万
人) |
1.2 |
6.3 |
2.7 |
3.5 |
3.7 |
1998年
犯罪白書・平成12年p27
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