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ブラックの逮捕は全くの偶然で、通行人が誘拐現場を一部始終詳細に目撃していたためだった。1990年7月14日(快晴・昼)、Mandy
Wilson(6)が友人宅に向かって歩いていたところ不審なバンが近づいた。
通行人の男性は車から下りてきた男がマンディーを助手席側ダッシュボードの下に押し込め、エジンバラ方面に猛スピードで逃走するところを詳細に目撃。男性は車のナンバーを警察に通報。
マンディーの半狂乱になった父親と警察官に、男性がで犯行現場で説明している最中に、ブラックの車が通りかかった。「あいつだ!」という絶叫と共にブラックは逃走を図るが警官に取り押さえられた。
車の後部座席には口に粘着テープを貼られ寝袋に詰められたマンディーがいた。命に別状はなかった。現場に居合わせたマンディーの父親はその時の様子をこう述べている。
「娘はおびえきっていました。口に貼られたテープをはがしてあげましたが、言葉を発することが全く出来ませんでした(She
was so terrified as I untied her and took the tape from her mouth that she
didn't utter a word.)」
ブラックは逮捕される前、マンディーの下着を下ろし性器をなでまわしていた。逮捕後、精神科医との面談の中で逮捕されていなかったらマンディーをどうしていたかと問われ、以下のように述べている。
「(運転手なので)品物の配達を終えてからヤルつもりだった。下半身だけ服を脱がして、口のテープは取っただろう。ただ、騒いだら口はふさいだね。“When
I'd done the delivery in Galashiels down the road, I would have assaulted
Mandy sexually. I would have probably stripped her from the waist
down, but I would have untied her and probably took the plaster off her
mouth. And if she called out when I was assaulting her, then I might
have put the gag back on.”」
また、別の心理学者には、「膣にどの程度の大きさの物が入るか確かめただろう」「いつも使っているペンを入れてみただろう」とも言っている。さらに
「死んでしまったとしてもそれは純然たる事故だ(If
she had died it would have been a pure accident)」
警察での供述では殺人以外は積極的に証言。犯罪歴、過去に一度だけ女性と正常な交際をしたこと、自慰行為の嗜好、幼女への性的嗜好の詳細、思い描いていたファンタジーの内容、などを証言した。しかし、話が殺害の具体的部分に触れると急に無口になった。そのため、警察はブラックの過去数年の行動を調べなければならなかった。
警察は勤務先の業務記録、クレジットカードの明細などを調査し状況証拠を積んでいった。同僚の証言などから殺害推定日の直後に配送ルートの変更を申し出たり、被害者達の失踪当日に現場に付近の配送先に荷物を届けていたことなどが次々と明らかになった。
ただ、物的な証拠は検察・警察側には全くなく、1990年のマンディー誘拐と1988年4月28日に15歳(小柄で童顔)の少女を襲った強制猥褻未遂事件の目撃証言だけが有罪に持ち込める証拠だった。厳しい尋問にもかかわらず、ブラックは自白を拒否し続けたため、3件の殺人はいずれも状況証拠と曖昧な目撃証言しかそろっていなかった。
検察側が裁判で指摘した3件の殺人の類似性
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犠牲者は全員少女
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遺体の状況から殺害が性的動機による
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遺体は殴打した痕跡がなく骨が折れていない
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誘拐に車を使用
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遺体の発見場所が26マイル以内に集中
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遺体は隠した痕跡はない
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遺体は白い靴下を履いているが靴を履いていない
検察側はこれらの類似性がブラックの犯した誘拐未遂2件の犠牲者にも合致するとした上で、ブラックの犯罪歴・自宅から押収された大量の児童ポルノ・勤務先の業務記録などさまざまな状況証拠を積み上げた。
一方の弁護側は、殺人については全く物的証拠がなく、物的証拠を見つけられない警察がブラックをスケープゴートにしていると主張。
結局、陪審は有罪と評決、判事は終身刑を言い渡した(イギリスに死刑はない)。
仮釈放は最も早くて2029年、その年ブラックは82才になる。
<ロバート・ブラック事件の解説>
ブラックは今日も殺人はしていないと主張しているが、一方で未解決の幼女殺害事件10件以上がブラックの仕業であるという主張もある(物的証拠はない)。
この事件で問題になるのは、物的な証拠が全くないまま陪審が有罪を認定したことだ。確かにブラックは幼女に性欲を持つ異常者だが、それは殺人の証拠にも動機の証明にもならない。
特に1986年4月に発見されたSarah Harper(10)の遺体は掘り起こして最新の技術で調査しなおすべきだろう。事件が30年前におきていたら、白日の下にさらされたイギリスの法医学のレベルの低さも納得できるが、15年前の新しい事件であることは注目すべきだ。(逮捕が1990年、結審が1994年)
なお、ブラックの裁判にかかった費用は100万ポンド(1.7億円)。
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