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セックス殺人の場合、動機が不明なものが激増している

ロバート・レスラー

the number of "murders classified as 'unknown motives' has risen dramatically."

(Ressler, Burgess, and Douglas in Sexual Homicide: Patterns and Motives

 

 


 

 セックス殺人

Sexual Homicide

 


 

元ニューヨーク市警の殺人課課長で、数々の猟奇殺人の指揮を務めたバーノン・ジェバースによれば、セックス殺人(Lust Murder)の定義は以下.

 

セックス殺人とは、犯人が犠牲者の性器やその周辺を刺傷・切断する殺人であり、被害者の切断は、臓器摘出、異物挿入、性器の切除などを含むことがある。犠牲者は女性とは限らないが、女性の場合、乳房を切除されて”非女性化”されることがある。また、死体に特定のポーズをとらせたり、壁に立てかける、または、性器・肛門・口への異物挿入、人肉食(血液・肉体の飲食)、遺体との性交などの行動がある場合、セックス殺人に該当する。

"Lust murders are homicides in which the offender stabs, cuts, pierces or mutilates the sexual regions or organs of the victim's body. The sexual mutilation of the victim may include evisceration, piquerism, displacement of the genitalia in both males and females and the removal of the breasts in a female victim (defeminization).

It also includes activities such as "posing" and "propping" of the body, the insertion of objects into the body cavities, anthropophagy (consumption of blood and/or flesh) and necrophilia."

c1998 Vernon J. Geberth, Practical Homicide Investigation

LAW and ORDER Magazine, Vol. 46, No. 5, May 1998PRACTICAL HOMICIDE INVESTIGATION: Tactics, Procedures, and Forensic Techniques. THIRD EDITION. 1996. Author, Vernon J. Geberth; Publisher, CRC PRESS, INC. Boca Raton, Florida



 

名称

内  容

サディズム sadism   相手(動物も含む)に身体的苦痛や辱めを与えたりすることが性的な興奮、満足の源泉であるパラフィリア(性倒錯)。心理学的にマゾヒズムと共通の起源をもつという観点から、サドマゾヒズムと総称。サディズム・マゾヒズムという言葉はドイツの精神科医クラフト・エービングが命名
マゾヒズム masochism 苦痛や虐待を受けて性的な興奮を得る性倒錯
カニバリズム

(人肉食)

cannibalism 人が人の肉を食べること。ネクロサディズムとフェティシズムが結合するとカニバリズムに近い形となる
ネクロフィリア

(屍体愛)

necrophilia 殺人をともなうネクロフィリアは、始めから屍体への性的行為のために殺害する場合と、屍体の所有が性的快感を触発する場合がある。前者ではすでに存在していたネクロフィリアの空想、衝動を実行するもので、真性ネクロフィリアとも言う
ペドフィリア pedophilia 性的に成熟していない幼児を性愛の対象として選択する性的倒錯。「ロリータコンプレックス」はウラジミール・ナボコフの小説「ロリータ(1958)」から取られた。日本語の「ロリコン」には「ペドフィリア」が使われる
ネクロサディズム  necrosadism ネクロフィリアとサディズムが合体。死体を損壊することで快感を得る
エックスヒビティズム exhibitism 露出症。性的快感を得る目的で、見知らぬ相手に性器を露出。俗に”Flasher”
フェティシズム fetishism  ほとんど男性に限って見られるパラフィリア(性倒錯)。女性の身につけるものに性的刺激を受けて、オーガズムを感じる。尻、足、乳房といった体の一部にも対象が及ぶ。
ベスチャリティー bestiality  獣姦
 

ジョン・ダグラスは「ファンタジーを伴わない暴力は存在しない」と述べている。異常なサディストのファンタジーがポルノによって増幅されていることに関して、ロバート・レスラーは著書の中で繰り返し「暴力的ポルノ」の規制に言及している。

暴力的ポルノの凄惨な内容は、映画「8mm」を見るとよく分かるように、女性を集団でレイプするという程度にとどまらず、生きたまま火をつけたり、肉切り包丁で腹を裂き切り刻むといった内容が含まれる。日本のSMビデオとは、その暴力性・残虐性において比較にならない。アメリカでは毎年100万人弱の行方不明者がでるため、中には犯罪者が撮影した「本物」が混じっていることがある。

ポルノを見たことがない男性はいないだろうが、通常の男性であれば、肛門に硫酸を注ぐような映像を見て性的に興奮することは無いはずだ。暴力的ポルノのファンだったテッド・バンディはこう述べている。

単に読んだり見たりっていうのを超えてしまう地点があるんだ。ほんとに”やっちまおう”って思う地点がね。 

" . . . You reach that jumping off point where you begin to wonder if maybe actually doing it will give you that which is beyond just reading about it or looking at it . . . "
 

俺みたいなことをやりそうなヤツはたくさん知ってるよ。そういうヤツは必ずポルノ狂だね。

". . . I've met a lot of men who were motivated to commit violence just like me. And without exception, every one of them was deeply involved in pornography . . . "
 

バンディ、ゲーシー、ポール・ベルナルドが見ていたのは、通常のポルノではなく、明らかに「暴力的ポルノ」だった。

 

連続殺人犯で女性との合意の上での性的関係を持つことができる者は少ない

      (Ressler, Burgess, and Douglas in Sexual Homicide: Patterns and Motives

 売春婦を買ってみるが勃起しないことを嘲られて殺害に至ったケースをはじめ、生きている女性とは性交ができないため、殺してからレイプに至る場合が多い。また性交自体が不可能で死体を見てマスターベーションを行うケースも多い。

 人間の場合、食欲・性欲・攻撃欲の中枢が近い場所に集中していることもあり、行動を抑制するはずの側頭葉に損傷がある場合、激しく暴力的な犯罪がおきやすい。

セックス殺人の場合、動機が不明なものが激増している

the number of "murders classified as 'unknown motives' has risen dramatically."

(Ressler, Burgess, and Douglas in Sexual Homicide: Patterns and Motives

 

人間の場合、性欲と攻撃の中枢が近接していることは、暴力に性衝動が絡みやすいことをある程度説明できるかもしれない。

マスターベーションは通常、犯人の性的妄想が最大になる殺害直後に行われることが多い。殺害も死体切断も歪んだ性的妄想を、犠牲者を完全な支配下におくことで満たそうとするものだが、通常、十分な満足が得られるとは限らない。 

"ボストン絞殺魔Boston Strangler)"として有名なアルバード・デサルボは性欲が異常に強く、一日に5回の射精が必要だった。

heirens1.gif (28827 bytes) William Heirensの両親は狂信的なカトリック信者で、子供の頃、セックスをすると病気になると信じさせられた。

Ed Geinの場合も同じで、性=悪という図式がやがて激しい悪魔崇拝妄想となって育っていった。

William Heirens

 

連続猟奇殺人犯は、自分から女性的または同性愛的性質を排除したいという欲求を持っている  

Richard Tithecott  Of Men and Monsters: Jeffrey Dahmer and the Construction of the Serial Killer,

 性的な猟奇殺人犯は、男性としての自己同一性に疑問を持っているという仮説がある。共犯のトゥーレと同性愛関係にあったルーカスは女性への激しい憎しみをあらわにしている。

 

女は存在する必要がない。だから見つければ全て殺す。いいことをしたってわけさ。  

Henry Lee Lucas, "I was death on women. I didn't feel they need to exist. I hated them, and I wanted to destroy every one I could find. I was doing a good job of it."

 

 最も多いのが性的な征服を手段として被害者を完全に支配することで満足を得る形態だ。性的サディズムとは、相手の苦痛によって性的快楽を感じる性格のことで、テッド・バンディやダーマーが典型だろう。

また、犠牲者の死体を切断して食べることで犠牲者との一体感・満足感を感じる犯罪者もいる。アルバート・フィッシュは犠牲者となった少女の遺体をシチューにして食べていた。佐川一政は「彼女を完全に自分のものにしたかった。体を食べれば永遠に自分のものになる」と述べている。                              

ただ、カニバリズム(人肉食)の歴史は古く、古代には多くの民族が、偉大な人物が死んだ際、遺体を皆で分割して食べ、個人を偲び、偉大さを獲得しようとした。

そして、大抵の場合、性倒錯は複数が結合していることが多い。昭和11年の安部定事件はサディストの女性とマゾの男性の間に起きた。

阿部は性交中に男性の首をしめることに快感を覚えるようになったが、誤って男性を絞殺。殺害後、安部は男性の性器を切り取り大事に紙に包んで帯の間に入れていた。これはサディズム・ネクロサディズム・フェティシズムが結合したものだった。

 

 

 

 

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