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フレデリック・ウェスト

犠牲者数は12人(起訴数)

10代の若い女性ばかりを誘拐、強姦・拷問を繰り返した後に殺害して埋めた。犠牲者の中には彼らの16歳の娘が含まれる。実子への虐待は凄惨で、8歳の娘を2人で協力して強姦。

事件の全貌が明らかになる前に主犯格のフレデリックが自殺したため、ローズマリーの関与程度や殺害数について断定はできない。

ローズマリーは現在も終身刑に服している

Fredrick West

  & Rosemary West


 

フレデリックの両親

 

左から2人目がフレデリック。兄弟と

 

フレデリック・ウェストはロンドンから西へ200km離れた村(Much Marcle)で1941年農業労働者の家に生まれた。

兄弟は6人。学校での成績は悪く、15才で働きに出た時にはほとんど文盲。

16才の時、オートバイで事故を起こし、両足を骨折、1週間意識不明に。足には多少の障害が残り、びっこをひくようになる。

この時の脳への障害が突発的な激昂や感情の抑制不全の原因となったのかどうかは不明だが、前頭葉に障害を受けた場合に暴力的になる事例は多い。

事故後、Rena(16才:Catherine Bernadette Costello)と交際を始めるが、彼女がスコットランドの実家に呼び戻されて数ヶ月で別れた。なお、彼女は窃盗癖があり数度の逮捕歴があった。 

1961年、宝石店で友人と万引きをして逮捕、罰金を課された。数ヵ月後、13才の少女を妊娠させて有罪に。全く反省の色は見せず、「みんなやってることだろ?("Well, doesn't every one do it?")」と述べた。

この事件は地域で大きな問題になり、フレデリックは家を追い出された。


建設現場で働き始めるが、盗みを働き、13才の少女と性交したとして解雇。裁判で有罪になるが懲役にはならなかった。この時20才。

Rena

 

1962年、両親はフレデリックを故郷の村に呼び戻す。スコットランドから舞い戻ってきていたRenaと再び交際を始める。Renaは別の男の子供を身ごもっていたが(後に死産)、2人はスコットランドへ駆け落ち。

Renaは売春で稼いだ。フレデリックの性欲は異常に強く、犯罪学者コリン・ウィルソンのThe Corpse Gardenの中ではフェラチオ・肛門性交・SMなどに異常な執着を見せていたという。

フレデリックはアイスクリームの移動販売車の仕事につくが、客として訪れた10代の少女と頻繁に性的関係を持つ。その時の態度は「礼儀正しく、誠実で、信用できそうだった」という。テッド・バンディと同様、明らかにサイコパスの典型例だと言える。

Anna McFall

1964年、Renaはフレデリックの子供を身ごもる(Anna Marie)。結婚生活は付かず離れずの状態で7年間続いた。

フレデリックはアイスクリームの販売トラックで事故を起こし若い男性が死亡、過失がなかったようで何らかの罪を課された形跡はない。この男性のガールフレンドがフレデリックが最初に殺害したAnna McFall。

フレデリックは動物の屠畜工場で職を得る。コリン・ウィルソンは、この屠殺という仕事がフレデリックの暴力的な性格に、血液・死体への異常な執着を加味したと指摘している。死体の損壊や激しい暴力に性的快感を感じるようになると、非常に危険セックス・サディストになるが、この時期、フレデリック・ウェストは「一線」を超え始めたのだろう。

Renaとフレデリックの結婚生活は喧嘩が絶えず、Renaは子供を置いて家を出る。1966年7月に子供を取り返そうと戻ってみると、フレデリックはAnna McFallと同棲していた。1967年の初め、Anna McFallはフレデリックの子供を妊娠、Renaと離婚して結婚するよう強硬に迫った。フレデリックはAnna McFallを殺害、手足の指を切断して地中に埋めた。その後、Renaと子供と一緒に再び暮らし始めた。
1968年1月、Mary Bastholm(15)がグロスターのバス停付近で誘拐された。フレデリックが働いていた建設現場付近の喫茶店でウェイトレスをしていた。


なお、彼女の遺体は発見されておらず、逮捕されて捜査が行われている最中にフレデリックが自殺。


68年2月、フレデリックの母親が胆嚢を患って死亡。


 

ローズマリー中学生)

68年11月、フレデリックはパンの配達の仕事をしている時、後の妻かつ共犯者になるローズマリーに出会う。

ローズマリーはイングランド(Devon)で1953年生まれた。母親は重度の鬱病。父親のビルは精神分裂病で、家族には絶対服従を要求、従わなければ暴力をふるった。単純労働の職業を転々としていたため、家計は極貧だった。ローズマリーの兄、アンドリューによれば、父親ビルは「ベッドに入るのが遅い」と怒鳴ってバケツで水をかけたことがあると言う。また、庭の土を意味もなく子供達に掘らせ、しかもそれを自分で納得するまで続けさせた。ベルトや棒で殴ることも日常的だったという。
 

父親Bill

左からCharmaine、Heather、Anna Marie

 

父親の暴力を止めに入っていた母親が、1953年に鬱病で入院。ローズマリーを妊娠している間に、今では禁止されている「電気ショック療法」を複数回施されている。ローズマリーは子供のころから異常な行動が目立ち、叫びながら床を叩く、意識が朦朧とするまで何時間も頭を前後に振り続ける、などの行動を家族が証言している。

学校の成績が悪く、性格が陰気だったため、周囲との関係がうまくいかず、からかわれて激昂することが多かった。

同年代の友人は少なく、将来への希望が持てない中で、年の離れた男性と付き合うことが多くなる。そんな中、フレデリック・ウェストと出会い交際、父親ビルは年の離れた貧しい男との付き合いを認めず激怒していたが、16才で妊娠。ローズマリーは家を出てフレデリックと同居。フレデリックはAnna Marieと養子のCharmaineがいたので、ローズマリーは10代半ばで3人の子持ちになった。

1970年ローズマリーは女児ヘザー(Heather West)を出産するが、フレデリックが刑務所にいたため金銭的に困窮、家庭は精神的にすさんだものだった。Anna Marieが後に証言したところでは、ローズマリーは「些細なことで激怒し、感情の抑制を失い、暴力をふるった」という。口論からフレデリックの養子Charmaineを殺害、その時には出所していた夫フレデリックが、手足の指を切断して遺体を埋めだ。遺体は20年後に石炭貯蔵庫の地下から発見。

ローズマリーが雑誌に載せた広告

父親ビルはローズマリーを取り返そうとフレデリックのトレーラーハウスを訪れるが、ローズマリー本人が帰宅を拒否。Charmaineの殺害という弱みを握られて帰れなかったのか、自発的にとどまったのかは不明。

その後、ローズマリーは売春で生計を立てるが、フレデリックはそれを覗くのを趣味としていた。

Charmaineの失踪を不審に思った(養)母Renaが探しにきたところ、フレデリックは彼女を殺害Anna  McFallと同様、手足の指を切断して埋めた。

1972年1月フレデリックとローズマリーは正式に結婚届を出し、6月に2人目の子供をもうけた(Mae)。

2人は駐車場つきの家を借りる。後、若い女性が次々に殺害されたその家の最初の犠牲者はフレデリックの娘Anna Marie(当時8歳)だった。フレデリックが強姦する間、ローズマリーは体を押さえていた。(その後受けた数々の虐待についてはAnna Marieの著書Out Of The Shadows参照

 

Caroline Owens(17) を子守りとして雇うが、異常な雰囲気を察して出て行こうとすると2人は協力して強姦。警察の事情聴取ではフレデリックは「合意の上だった」と主張、罰金刑だけで切り抜けた。サイコパス特有の「口のうまさ」を発揮したものと見られる。

Caroline Owensは、「おとなしくしてないと、ぶっ殺して埋めてやる」と言われたと言っている。後の裁判では彼女の証言が重要な証拠になる。この時フレデリック31才、ローズマリー19才だった。

フレデリックは子守りとして雇ったLynda Goughを殺害、手足の指を切断。

1973年8月、ローズマリーは男子を出産(Stephen)

 

11月、Carol Ann Cooper(15:写左)を誘拐。数日にわたって性的虐待を加えた後、絞殺して埋めた。

12月27日、大学生Lucy Partingtonを誘拐。数日にわたって性的虐待を加えた後、絞殺して埋めた。遺体を解体する際、フレデリックは手に怪我をし病院で縫合手当てを受けている。

この2人の女性は警察の行方不明者リストに載った。なお、フレデリックらと面識はなかった。

 

1974年4月からの1年間には3人の女性が犠牲になった。誘拐・性的暴行・殺害・遺体切断、そして自宅の庭に埋めるという手口は一貫していた。犠牲者はTherese Siegenthaler(21), Shirley Hubbard(15), Juanita Mott(18)。

Shirley Hubbard(15)の暴行では、頭をガムテープで巻き窒息させた。Juanita Mott(18)は、靴下や下着(他の犠牲者の物)をひも状つないだ物で口をふさがれ、洗濯物を干すビニールロープを体中に巻きつけられた。

スリップ・ノット(絞首刑の縄先に使う輪)にした縄を天井の梁から垂らし、窒息死させた。なお、巻き方は左右対称で手の凝ったものであり、犠牲者の苦痛に性的快楽を感じる「セックスサディスト」の典型例だと言える。

フレデリックはこうした殺人を続けながら、窃盗と盗品売買を繰り返していた。

1976年、売春婦Shirley Robinson(18:写左)は、フレデリックと交際し子供を身ごもる。

この頃、ローズマリーも客の黒人男性の子供を妊娠していた。1977年12月にローズマリーが出産(Tara)。

ローズマリーはShirley Robinsonがフレデリックの子供を妊娠していることに腹を立て、彼女を殺害し他の犠牲者同様、地下に埋めた。この時、遺体(胎児を含む)の解体と遺棄をフレデリックが手伝ったとされている。

 

1978年11月、ローズマリーは4人目の子供を出産(Louise)。家にいた子供はこれで6人。フレデリックは実娘のAnna Marieを妊娠させるが卵管妊娠だったため堕胎した。

1979年5月、ローズマリーの父ビルが死去。この頃、10代の少女Alison Chambersを強姦・拷問の末、殺害して裏庭に埋めた。

Anna Marieが父フレデリックからの性的虐待から逃れるため、ボーイフレンドと駆け落ちすると、フレデリックはヘザーとMaeを暴力で脅して虐待するようになる。

1980年6月、ローズマリーが出産(Barry)。

1982年4月、女児を出産(Rosemary Junior)、1983年7月にも、女児を出産(Lucyanna)するが、この2人はフレデリックの子供ではなかった(売春していたので客の黒人男性が父)。ローズマリーは多すぎる子供に手を余し、小さなことで激怒し子供に暴力をふるう。

Heather West

1986年、娘のヘザー(87年失踪時に16才:Heather West)が友人に、自宅での性的虐待や暴力について相談した。その友人が両親に相談し、フレデリックらと話し合った。

フレデリックらはその場で事実無根として一蹴、ヘザーを殺害して解体、裏庭に埋めた。その際、穴を息子のStephenに掘らせた。ヘザーが行方不明になったと警察に届け出るが、フレデリックは「最近は家出する少女が多い」「名前を変えて売春でもしている」と警察では述べている.

また、ヘザーは薬物を乱用しており、レズビアンだとも言っている.妻ローズマリーも同様の供述をした。遺体は7年後に発見。


 

フレデリックが少女を強姦したことが警察の耳に入り、1992年8月6日踏み込むと、大量の児童ポルノ、数々の拷問道具が見つかり、二人はその場で逮捕された。

フレデリックは警察署に移送されるまでの間に娘のヘザーを殺害したことを自供、証言は詳細で、体を3つに切断して埋めたこと等が含まれていた。

しかし、警察署に到着するとそれまでの証言を全て否定。娘ヘザーは「中東バーレーンで麻薬カルテルの下働きをしていて」「運転手付きのベンツを持っている」などと述べる。

警察がAnna Marieから話を聞くと、どれだけ凄惨な性的虐待を受けてきたかが明らかになった。最初に父親に強姦されたのは8才の時で、母ローズマリーも荷担していたことを聞いた警察官は思わず言葉を失ったと言う。

 

子供達は施設に預けられた。

ローズマリーは拘置所内で薬物の過剰摂取で自殺を図ったが失敗。

娘ヘザーの失踪を不審に思った捜査官Hazel Savageがフレデリックらの子供達から話を聞いたところ、裏庭に何かを埋めていたことがあり、それを誰かに言ったら殺すと脅されていたことが明らかになった。

ただ、この時点では、2人の逮捕理由は、未成年者の強姦と幇助に過ぎなかった。

警察が5×18mほどの庭を掘り返すと、人骨が大量に出てきた。この証拠を突きつけるとフレデリックが自供を開始。庭からは9体の人骨が発見されたが、フレデリックが殺害の様子や氏名などを覚えていなかったため、特定は難航した。人骨が発見されたことを聞くとフレデリックは娘ヘザーの殺害を認める。ヘザーの横柄な態度からケンカになり、ヘザーの嘲笑をやめさせるために喉をつかんだところ青くなり呼吸が停止した、と供述。

バスタブに遺体を入れ服を脱がせて首を切断。さらに「大きな音がしてダラりとするまで」足をねじり、足を切断。ごみ箱に詰め庭に運び埋めた。

ローズマリーは「自分も犠牲者だと」主張、罪を逃れようとした。フレデリックは豹変した妻を見て落胆していたという。

フレデリックは12人を殺害したとして起訴されるが、看守が昼食を取っている間に拘置所内でシーツをロープ状にして首を吊り死亡(Winson Green prison:1995年1月)

 

検察はローズマリーを数々の殺人と結びつける物的証拠を持っていなかったが、状況証拠を積み重ね、Caroline OwensやAnna Marieにローズマリーの常軌を逸した性的サディズムを証言させた。さらに、ローズマリーを証言台に立たせ、怒らせて陪審の心証を悪くする作戦に出た。

弁護側は性的な異常さや子供の虐待は殺人の証拠にはならないと主張。生前のフレデリックが殺害は全て自分1人でやったと述べている供述テープを提出。しかし、この内容は矛盾だらけで事実ではない証言が多数含まれていたため、証拠としての価値は低かった。

結局、フレデリックがJanet Leachという女性に対して、Charmaine とShirley Robinsonの殺害はローズマリー単独だったと語っていたことが勝敗を決めた。

陪審は有罪を評決。1995年11月、ローズマリーは10人を殺害したとして終身刑に(イギリスに死刑はない)。ロンドンの北方にあるHolloway prisonに現在も収監中。

 

現在、刑事事件再審査委員会Criminal Cases Review Commission :CCRC)などが、ローズマリーは無実ではないかという疑問を投げかけている。

フレデリックが犠牲者を撮影した写真を警察が裁判の時に弁護側に提出しなかったことや、Anna Marieの書いた本(Out Of The Shadows)の内容が根拠となっている。

ただ、有罪となった10件の殺人のうち、何件かに荷担していないとしても、確定した10個の終身刑が7-8の終身刑に減るだけだ。彼女が刑務所を出てくることはあり得ない。

 

フレデリックは、自殺する直前、妻ローズマリーに手紙を書いている。

俺達の愛は永遠だ。どこにいようとお前は俺の妻。それが俺達のすべてさ。

"We will always be in love...You will always be Mrs. West, all over the world. That is important to me and to you."

 

 

 

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